多量摂取でも害はない?

大豆に含まれるイソフラボンは天然の成分で、女性ホルモンに似た働きがあり、美容と健康によいといわれています。
サプリメントも販売され、摂取を考えている人も少なくありません。
イソフラボンは多く摂取しても大丈夫なのでしょうか?

大豆イソフラボンの摂取

大豆イソフラボンは大豆の胚芽部分に多く含まれるフラボノイドの一種の総称です。
女性ホルモンのエストロゲンと化学構造がよく似ているところから、植物エストロゲンと呼ばれています。
大豆イソフラボンは大豆の種類や加工方法により同じ大豆製品であっても、それぞれ含有量が異なります。

大豆イソフラボンの目安摂取量上限は?

食品安全委員会は、大豆イソフラボンの一日の目安摂取量上限値を70mgから75mgと定めています。
この量は、たとえば納豆なら約2パック、豆腐なら約1丁、豆乳なら約2パックに相当します。
一日に納豆1パックと豆腐半丁を食べるとほぼ目安摂取量に達します。

食品安全委員会では、食品からのイソフラボンの摂取がこの上限値を超えたからといって、直ちに健康被害に結びつくということではないと強調しています。

食品からの大豆イソフラボンが目安摂取量を超えると?

大豆イソフラボンの過剰摂取を気にするあまり、通常の食生活から大豆食品を排除してしまうと大豆食品から栄養成分が得られなくなり、かえって健康を害する可能性が指摘されています。

日本人は古くから大豆食品に親しみ、長い年月にわたり摂取してきた歴史があります。
これまでに大豆食品を摂りすぎたことによる安全性を疑うような健康被害が出たという問題は起きていません。

バランスの取れた食事が大切

大豆は畑の肉ともいわれ、良質な植物たんぱく質を含む食品で、肉、魚、卵と並び主菜として取り扱われます。
大豆は主要な栄養素としてたんぱく質のほかにも炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミンを含み、そして微量成分として大豆サポニン、レシチン、大豆イソフラボンなどを含みます。

大豆食品は日本人の健康的な主菜とはいえ、大豆食品のみに偏った食事は避け、バランスの良い食生活を心がけることが美容と健康維持に最も大切です。

厚生労働省と農林水産省では大豆、及び大豆製品の料理は肉、魚、卵料理と合わせて一日三皿程度を食べるように食事バランスガイドで指導しています。

サプリメントからの過剰摂取は要注意

食品安全委員会では、イソフラボンをサプリメントから摂取する場合、一日の摂取量の上限を食品からの摂取量に上乗せして30mgまでと定めています。
この上限値は安全性を最優先し、慎重に考慮された数字で、この値を大幅に上回る量を長期間にわたり摂取しない限り、ただちに健康被害が出るというわけではないとしています。

これはたとえば、イソフラボンを食品から40mg摂取し、サプリメントから30mgを摂取すると1日の上限値の70mgから75mgに達するという計算です。

サプリメントから過剰摂取することによる弊害

大豆イソフラボンは天然由来の成分ですが、サプリメントから濃縮されたものや強化した食品を過剰に摂取すると、乳がん発症、及び再発のリスクを高める可能性が考えられます。
イソフラボンの有効性と安全性については、今も数々の研究と実験が進められている途中で、ヒトに対しての作用についての統一された議論は確立されていません。
サプリメントからの摂取上限量として定められた30mgを超えない範囲での摂取を守るように注意が喚起されます。

海外の大豆イソフラボン過剰摂取の臨床研究

大豆イソフラボンの過剰摂取について、イタリアで閉経後の女性を対象に実験が行われました。
それによると大豆イソフラボンの錠剤を 150mg、毎日、5年間にわたり摂取し続けると、子宮内膜増殖症の発生が有意に高くなったという結果が出ました。
このことから一日に150mgを健康被害の可能性が出る量とみなし、その半分の75mgが現時点でのヒトの安全な摂取目安量の上限とすると定められました。

目安摂取量は大豆イソフラボンアグリコンによるもの

食品安全委員会の定めた一日の目安摂取量上限値、及びサプリメントからの上乗せ摂取上限値はいずれも大豆イソフラボンアグリコンとしての換算値です。

大豆イソフラボンは通常、糖と結びついた配糖体として存在しています。
一旦摂取されると、腸内細菌などにより糖と分離し、アグリコン型として吸収されます。
大豆イソフラボンアグリコンは納豆や味噌などの発酵食品に存在していますが、そのほかの大豆製品は配糖体として存在しています。

食品からの摂取とサプリメントからの摂取の注意点まとめ

大豆イソフラボンを食品から摂取する限り、健康被害を心配する必要はほとんどないことは、大豆食品を長年にわたり食べ続けてきた日本人の例からも証明されています。
しかしサプリメントから摂取する場合は過剰摂取にならないように、目安摂取量上限値を守ることが大切です。
Articleおすすめの記事
トップに戻る